日 時:8日2日~9日(水)13:00~15:00(全4回)
場 所:所沢図書館 新所沢分館
参加者数:小学生5人
所沢市立所沢図書館の新所沢分館と共催で夏休み中に図書館司書を体験するこの活動も、今年で3年目となりました。
過去2回は「こども司書体験」として行っていましたが、
今年はネーミングも新たに「キッズライブラリアン体験」として実施し、4年生の女の子5人が参加してくれました。
体験は4日間を通して図書館司書の仕事を学び、最終日には自分たちでおはなし会を行うという内容です。
◆8月2日(水)1日目
図書館のおはなし会室に集合し、まずは自己紹介から。
「図書館使ったことある」
「図書館の貸出カード持ってる」
全員が図書館には来たことがあるとのことでした。
次は図書館の石川さんから
「図書館ってなぁに?」
という紙芝居で図書館の役割を学び、
吉田さんからは年表を使って図書館や本にまつわる歴史を学びました。
今は紙に文字が書いてあるけれど、昔は石に彫ったり、
植物の皮をなめして貼りつけたりしていた時代もあることも聞き、その歴史の長さを感じた時間でした。
次は図書館探検!
でもその前に、図書館の館内マップ(こどもの本コーナー)を渡されて、クイズに挑戦です。
問題:どこに何の本があるでしょう?
左の数字を☆の部分に入れましょう!
※OPAC…本の検索ができる端末のこと
図書館に来たことがあるという子どもたち、慣れた様子であっという間に答えを埋めていました。
クイズの答え合わせをしに、おはなし会室から出ていざ図書館探検です。
「他の利用者もいるから静かに」
なんて言わなくてもヒソヒソと静かに答え合わせです。
「あってた!」
「間違ってる…」
クイズの答えに一喜一憂しながら図書館探検は進みました。
大人向けの本のコーナーでは、こどもの本コーナーよりもたくさんの種類の本に驚きつつも、
お菓子作りや小動物の本が気になる子どもたちでした。
次に書庫や事務室、対面朗読室、返却ポストを見学しました。
普段は入れない特別な場所だけに、最も興奮して目を輝かせていました。
書庫では手動で動く本棚にたくさんの本が並んでいて、
「本の重さを体験しよう」
ということで、実際にハンドルを回して本棚を動かしてみました。
「おも~い!!」
本棚1つならなんてことないけど、7つも8つも一緒に動かすととっても重いんです。
図書館の石川さんと吉田さんから
「腕に力がつきますよ」
と、本の重さを感じるとともに図書館司書の大変さも教えてもらいました。
図書館閉館時に使う返却ポストでは、ポスト内で本が落ちる様子を見て
「本が傷みそう…」
と心配する子どもたち。でも、下にクッションを置いて傷がつきにくい工夫がしてあることもわかりました。
その後はおはなし会室に戻り、
点字本や大活字本、広辞苑のような重い本など、様々な種類の本に触れました。
初日の活動を終え、図書館についてたくさん学び、
「明日が楽しみ♪」
と感想が出るなど、興味が広がっているようでした。
◆8月3日(木)2日目
みなさん、図書館でたくさんある本の中から目的の1冊を探すのって大変ですよね。
自分で調べて探したり、図書館の方に聞いて探してもらったりするでしょうか。
「オリンピックのことを知りたい」
もしこのような質問をされたら、図書館司書の方はどのように本を探すのでしょうか。
ということで、2日目の活動は、
「分類」
について学ぶところから始まりました。
図書館のこどもの本は、日本十進分類表により9区分に分けられ、
その区分からさらに2桁の数字の細目(簡単に言うと100ジャンル)に分けられています。
それぞれの本にはその2桁の数字がついていて、その数字ごとに分類してあるそうです。
ちなみに、図書館司書の石川さんと吉田さんは、100の分類のほとんどを記憶しているとのことです。
凄いですね!
「オリンピックはスポーツだから…、78(ななはち)、だから…、ここだ!」
しっかり教わったおかげで、実際に書架に出てオリンピック関連の本が置いてある場所にたどり着きました。
その後は、書架の整理を体験しました。
綺麗に見える本の並べ方は、棚の一番前に本の背が揃う状態とのことで、
本に両手を添えて丁寧に整理しました。
事前に本の並び順について学んでいたからか、
「あっ!これ順番が違う」
並び順が間違えている本も見つけ、本来の場所に戻すことができました。
「ワザと順番を入れ替えておいたんだけど、見つけられて凄いね!」
と図書館の石川さんからも褒められました。
専門的で難しい内容も多かった2日目もこれで終了です。
◆8月8日(火)3日目
まずは、図書館の事務室でスキャン体験からスタートしました。
本の貸出や返却の時にバーコードを
「ピッ」
と読み込むあの作業です。
図書館の仕事といえばこの様子がイメージしやすいからか、子どもたちはとても楽しみにしていたプログラムの一つで、次々に読み込んでいました。
バーコードを読み込むとパソコン画面に情報が表示され、間違いがないか確認しながら貸出返却作業をします。このときに、本の破損がないかも確認しているとのことで、思ったよりも同時に作業があって複雑でした。
本の破損の話が出たので、
次はおはなし会室に戻って、実際に傷んだ本の修理をしました。
ページが破れていたり、ページが取れていたり、想像以上に破損個所が多く子どもたちは驚きながら、専用の糊やテープを使って修理しました(時間とともに劣化するセロテープは使わない事も教えもらいました)。
「結構大変」
子どもたちの率直な思いがこぼれます。
「これでいいですか?」
貸出に出される図書館の本だけに慎重に、丁寧に、確認しながら修理作業をしました。
後半は最終日のおはなし会に向けて練習しました。
自分で読めそうな本を一人1冊選び、練習です。
初めての経験で、本の持ち方、本の傾き、声の大きさ、声のスピードなど、
図書館の石川さんと吉田さんから優しく教えてもらいました。
その後、手遊びとわらべうたを学んで3日目が終了しました。
初めは不安だったおはなし会ですが、本番に向けて
「やれる」
という感触をつかみ、最終日を迎えることになりました。
8月9日(水)最終日
おはなし会当日少し緊張気味の子ども達でした。
本番のスぺシャルおはなし会は、事前に招待していた子どもたちの保護者や新所沢まちづくりセンターの澤田センター長、図書館の平田分館長、みどり児童館の和泉館長の他、第一生活クラブと第二生活クラブから希望者も参加して30名近い方が、子ども自身によるおはなし会を見守りました。
笑いが起きたり、真剣に聞いたりと、
子どもたちが読む絵本の世界に入り込んでいるようでした。
最後は、キッズライブラリアン認定式で認定証とメダルをもらいとても嬉しそうでした。
今回の5人は全員が皆勤賞。
全ての回に出席して、図書館司書についてじっくりと学びました。
実は、今回の活動に参加した子どもたちは、最終日のおはなし会に消極的な状態での参加でした。
「人前で読むなんてやったことないし不安」
そんな気持ちでスタートして、どうなるなかなと思っていましたが
日々の活動を通していくうちに、
「楽しい」
という気持ちが日に日に増していったようです。
おはなし会本番では、
「緊張する~」
なんて言いながらも、一番上手にできたと思います。
図書館の石川さんからも
「司書の資格を取るのに大学で勉強する大体のことはやったよ」
という言葉をいただきました。
その分だけ、大変なことも楽しいこともありました。
だからこそ、認定式でのとても嬉しそうな満足そうな充実した表情があったのだと思います。
アンケートで、こんな感想がたくさんでました。
「楽しかった!」
「またやりたい」
「家の本棚も整理したい」
「妹に絵本を読んであげたい」
子どもたちの心に少しでも響いたようで、嬉しくなりました。
こんなに身近に図書館があるってなかなかないです。
この活動をきっかけに図書館をもっともっと活用してほしいと思います。
最後に、とても優しく丁寧に教えてくれた図書館司書の石川さん、吉田さん、ありがとうございました。
児童厚生員 田村 慎平(1)